語り継げるのか「シベリア抑留」 基金解散・慰霊祭中止・抑留者高齢化

▼MSN産経ニュース 語り継げるのか「シベリア日本人抑留」 基金解散、慰霊祭中止へ…(2013.8.8 10:25)
 旧ソ連が第二次世界大戦後、日本人約60万人をシベリアなどに抑留した問題で、慰霊祭などを政府とともに行ってきた財団法人「全国強制抑留者協会」(全抑協)が資金難で存続の危機に直面している。助成してきた国の基金が解散し、行政の支援が停止しているためだ。元抑留者の平均年齢は90歳を超 え、多くが他界している。間もなく戦後約70年となる今も、十分に明かされていない抑留の実態をどう解明し、いかに次世代に伝えていくかが問われている。 (黒川信雄)

■数年で資金枯渇

 「シベリア抑留では60万人もの人間が拉致されたのに、教科書でもあまり触れられていない。歴代内閣は抑留問題に真剣に取り組んでいない」。元抑留者で全抑協会長の相沢英之元衆院議員(94)は政府の取り組みに疑問を投げかける。

 抑留経験者らで組織する全抑協は平成元年に発足。慰霊祭のほか、抑留体験の聞き取りや展示会など問題の風化を防ぐ活動を主導してきた。

  しかし、活動資金を実質的にまかなってきた総務省所管の「平和祈念事業特別基金」の解散が22年に決まり、23年度から国の助成が一切受けられなくなっ た。基金は今年4月1日に解散。残る資金を取り崩して活動しているが、「おそらく3年後には資金が完全に枯渇する」(吉田一則事務局次長)。総務省には7 月に予算申請したが、前向きな回答は得られていないという。

■ロシアは謝罪

 埋葬地調査や遺骨収集事業は厚生労働省が実施しているが、慰霊祭は「政府として実施する予定はない」(総務省大臣官房総務課)としており、全抑協の活動の一部は中止に追い込まれる見通しだ。

 全抑協はソ連やロシアに、抑留について文書による公式謝罪と、当時の強制労働に対する賃金補償を求めている。抑留は旧日本兵らの本国帰還を求めたポツダム宣言の規定(第9条)に違反しているため、「補償はロシアが支払うべきだ」との立場からだ。

 ロシアのエリツィン大統領(当時)は平成5年に訪日したさい、この問題で謝罪した。また、日ソ共同宣言(昭和31年)では両国とも賠償請求権を放棄しており、「全抑協の要求の実現は困難だ」という意見もある。

 しかし、個人の賠償請求権は放棄されておらず、相沢会長は要求実現に向けて「政府、そして与党自民党がこの問題を取り上げなくてはならない」と主張する。

■「補償は区切り」

 一方で、賠償請求権は日ソ共同宣言で放棄したとし、ソ連での強制労働の賃金支払いを日本政府に求めてきた団体もある。「全国抑留者補償協議会」だ。

 元抑留者への給付金支払いなどを定めた「戦後強制抑留者特別措置法」(シベリア特措法、平成22年6月成立)で、日本政府による国家補償は実現したとし、23年5月に解散した。

 これに合わせて同年4月、同協議会の関係者らは抑留実態の調査活動などを続けるとしてNGO「シベリア抑留者支援・記録センター」を設立。シンポジウムや行政への法整備の働きかけなどを行っている。

  補償協議会の元事務局長で、現在はセンターの代表世話人を務める有光健氏(62)は、補償協議会はソ連寄りだったのでは、との質問に、「(死亡した抑留者 の)名簿や情報を入手するには、ソ連に対し、ある程度友好的な姿勢を取らざるを得なかった」と答えた。補償問題はシベリア特措法で「区切りがついた」と し、「今後は抑留の実態解明への協力をロシアに強く求めていくべきではないか」と主張している。

     ◇

 【日本人抑留 問題】 昭和20(1945)年8月、日ソ中立条約を破って対日参戦したソ連軍が日本降伏後、満州や樺太などから日本軍将兵や一般邦人ら約60万人を連行 し、シベリアなど旧ソ連各地の収容所に抑留した。2~11年にわたって森林伐採や鉄道敷設などの強制労働を課され、飢えや寒さ、重労働による衰弱で死亡し た人数は約5万3千人(厚生労働省推計)にのぼる。ソ連崩壊後、抑留を指示したスターリンの指令文書が発見された。収容所では共産主義を礼賛させ、親ソ派 に転向させるための洗脳教育が行われた。抑留体験者には宇野宗佑元首相らがいる。

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